岡畑農園の梅栽培(農園部門)のご紹介

地域の自然を慈しむ心が、梅干づくりの原点

梅干づくりを行ううえで何よりも大切なのが、自社農園と工場のある上芳養(かみはや)の自然に敬意を払い、慈しみの心を持つことだと岡畑農園は考えます。
澄み切った空気や清らかに流れる川の水、南紀特有の温暖な気候が、豊饒な土壌を育み、梅の実をはちきれんばかりにふっくらと育ててくれるのです。
加えて、梅枝チップをふんだんに活用した土づくりと適切な剪定によって、梅の木の健康を保つことで、最高級の名にふさわしい枝成りの完熟梅が、確かな実りを迎え、強くしっかり育つのです。

梅どころ、田辺市上芳養(かみはや)の地で梅を育む

日本最大の半島である紀伊半島の西側。田辺市上芳養地区は、和歌山県のちょうど中腹部に位置しています。特筆すべき里の特産品は、もちろん「梅」。日本一の生産量を誇る梅の里みなべ町と肩を並べる、もう一つの梅どころとして全国的に知られています。

初春、冬の寒さに耐え、なによりも早く春の訪れを教えてくれる梅の花。連なる山々を白い花が覆い、里は馥郁(ふくいく)たる梅の香りで満たされます。上芳養の四季の始まり。

私たち岡畑農園は、昭和43年(1968年)の創業から変わらず、この地で梅を愛で、育み、美しい里山の風景を守りながら、自然と共に生きています。

極上の一粒は「土づくり」から

ふっくら上質な梅の実を育てるために必要なこと。それは、梅の木の健康を保つための「土づくり」だと岡畑農園は考えます。
岡畑農園流の土づくりの秘訣は、細かく砕いた梅枝のチップを大量に梅の木の周りに盛ること。その深さはなんと約1m以上にもなります。 チップは柔らかく、適度な隙間ができるので、保水性や酸素補給に優れます。加えて、夏場の直射日光を防ぎ、地表面の温度上昇を抑えるため、梅の木の根のダメージを和らげてくれるのです。
チップはやがて微生物に分解されて土となり、梅の木の養分となります。
剪定した梅の枝を捨てることなく、土に返すことで環境負荷も軽減しています。

適切な「剪定」で梅の木の健康を保つ

上質な梅の実を育てるために、土づくりと同様に大切なのが剪定作業です。
剪定することで梅の木に刺激を与えて、若い枝が発生するきっかけを作り、木の適切な成長をサポートしていきます。
剪定は難しく、今年一年の実り方を把握することがとても重要。葉が光合成しやすく、風の通りが良くなるようになど、さまざまな条件を考慮しながら丁寧に剪定します。
岡畑農園は、他の梅農家さんよりも早い9月頃から剪定を始めます。年末頃には梅の花のつぼみが出来始めるため、剪定の最中に傷つけてしまわないように、年末までに終わらせます。

岡畑農園の梅こよみ ~開花から天日干しまで~

1.開花の初冬

冬の初め、12月頃から梅の木に小さなつぼみが膨らみはじめます。2月上旬には清楚で真白な梅の花が、ほのかな香りとともに、自社農園一面に咲き誇ります。

2.実り青々と

開花した梅の花が受粉し結実。春を過ごし6月上旬には、ふくよかに育った紀州梅が青く輝きを放ちます。 たわわな実りは、完熟の時をゆっくりと待ちます。

3.彩り完熟へ

豊かに実った青梅は、6月中旬になると紅色から黄色へとその姿を染め上げ完熟を迎えます。樹上の完熟梅が枝を大きくしならせるといよいよ収穫の季節。

4.丁寧に収穫

完熟した大粒の紀州梅は、枝から自然に離れ、土壌に敷き詰められたネットの上へ。自社農園が一番忙しくなる収穫の時季。ひと粒一粒丁寧に手で収穫します。

5.洗浄と選別

収穫してすぐに、上芳養の天然水で梅をきれいに洗浄します。汚れを落とした洗浄後の美しい梅は、粒の大きさをきちんとそろえるため、ひと粒一粒選別します。

6.漬け込みへ

洗浄と選別が終わった紀州梅を清潔な大型タンクに。厳選した上質な塩をたっぷりと加えて塩漬けします。塩分を果肉にじっくりと染み込ませる大切な工程です。

7.「手間ひま」かけて天日干し

約1ヶ月間じっくり塩漬けした完熟梅を、梅雨明けとともに天日干しします。
干し上げる期間は約3~5日間。50~60℃にもなる強烈な暑さのハウス内で、満遍なく干し上げるための返し作業が続きます。
太陽をたっぷり浴びた梅は、殺菌されるとともに、皮や果肉が柔らかく、風味豊かで色鮮やかな「白干梅(しらぼしうめ)」に生まれ変わります。
完成した白干梅は、原料梅干として樽に詰め、保管庫で大切に保管します。